リスティング広告という言葉は総称になっているというお話

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リスティング広告の定義とは何なのか?

リスティング広告という言葉は、数年前に比べれば一般の方にもずいぶんと浸透して来ました。

一方で、機能の進化に伴いリスティング広告とは具体的に何を・どこまでを指すのか?その定義が曖昧になってきているようにも感じます。

例えば、「リスティング広告出稿したいんだけど」と、お店を経営している友人に言われたとしましょう。

でも、一口にリスティング広告と言っても、え?ヤフーに出したいの?グーグルなの?YDNとかGDNもやりたいの?どうなの?

動画もやりたいの?Gmailも出すの?リタゲはどうするの?なんなの?等など、細かく確認する必要性が出てくるようになりました。

その他、ターゲティングはどうするの?CPA目標は?予算は?配信スケジュールはどうするつもり?

ペルソナは想定できてる?どのくらいやる気あるの?ないの?とかも確認しなければなりません。

ちなみに、上記のように詰問するような聞き方をすると友達を失くすので注意しましょう。(ヒアリングシートとかがあれば齟齬がなく便利かも)

昔は、リスティング広告と言えば検索連動型広告の事を指す場合がほとんどでしたので、ここまで混乱はなかったかと思います。

そこで今回は、リスティング広告の語源や歴史から、その定義を紐解いて行きたいと思います。

●結論
今回の記事はだいぶ内容を掘り下げているので、話が長くなりそうです。なので、先に結論を書きます。

結論から言いますと、【リスティング広告】という広告配信メニューは厳密には存在しません。

下記の表をご覧頂ければ分かりやすいかと思いますが、リスティング広告とはあくまでも総称であって、具体的にはSS・YDN・GS・GDNの4種類の広告の事を指します。
※古株の人は、リスティング広告と言えば検索連動型広告を指す人が多いので注意。

リスティング広告の内訳

リスティング広告
媒体社 検索連動型広告 ディスプレイ
ネットワーク広告
Yahoo! Yahoo!
スポンサードサーチ
(SS)
Yahoo!
ディスプレイ
アドネットワーク
(YDN)
Google Google
アドワーズ
(GS)
Google
ディスプレイ
ネットワーク
(GDN)

※検索連動型広告の事を、キーワード広告と呼ぶ人もいますが同義です。PPC広告と呼ぶ人も一定数存在します。

2009年から2012年まで、Yahoo!JAPANは【Yahoo!リスティング広告】という名称で運用型広告を展開していました。

しかし、2013年1月から同サービスをYahoo!プロモーション広告へ名称変更した為、正式名称としてはリスティング広告ではなくなりました。

※リスティング広告と言えば、スポンサードサーチなどの検索連動型広告の事を指し、YDNは含まないという考え方の人も多いです。

しかし、当時のYahoo!リスティング広告の媒体資料などを読みますと、スポンサードサーチ+YDNでYahoo!リスティング広告という図解があり、YDNも含むという理解で間違いないです。

一方、【Googleアドワーズ】は2002年のサービス開始から一貫してGoogleアドワーズであり、リスティング広告とは銘打ってはおりませんでした。

Googleの担当者の方に、「Googleアドワーズはリスティング広告と呼んで良いですか?」と聞いた所、「弊社のサービスはGoogleアドワーズです(それ以上でもそれ以下でもない)」という回答をもらっています。

なので、GoogleアドワーズはGoogleアドワーズなのでしょう。※サービスサイトのタイトルタグを見ますと、「GoogleのPPCオンライン広告」という記載もあります。

●リスティング広告の語源
そもそも、なぜリスティング広告と命名されたのか?その由来を探るべく【リスティング広告■語源】や【リスティング広告■由来】で検索してみますが、まぁ情報が出てこない・・・

びっくりするくらい出てこないです。そこで、リスティングという言葉の意味を調べてみました。

●リスティング(listing)とは?
listingとは、名簿・カタログ・一覧表などの意味を持つ英単語という事が分かりました。listのing系なので、リスト状の~とか、一覧になっている~というような認識でいいのではないかと思います。

●リスト状(一覧)になって出てくる広告だから、リスティング広告?
確かに、検索結果画面に一覧になって広告が出てきます。

実は、過去に媒体の担当者にリスト状になっているから、リスティング広告なんですか?と質問した事があります。

すると、「そうなんじゃないかな~(曖昧)」という回答が来たので、恐らくこの線で間違いないと思いますが、公式な見解は中々情報が載っておりません。

これだけ有名なインターネット広告なのに、誰も気にしてないのでしょうか?不思議です。

●リスティング広告の歴史を振り返る。
Googleアドワーズも、スポンサードサーチもどちらも2002年から日本では提供を開始されています。

ヤフー社は、Overture社の買収であったり、スポンサードサーチ→Yahoo!リスティング広告→Yahoo!プロモーション広告へと名称変更がされたり、大きく移り変わっている印象です。

その為、いつからリスティング広告に携わったかであったり、逆にいつ業界から引退したかによって、認識が大きく分かれるのもYahoo!のリスティング広告だと思います。

一方で、Googleアドワーズは随時アップデートはしているものの、ずっと名称はGoogleアドワーズなので一貫性があるように感じます。

Yahoo!の歴史

  • 2017年 3月:YDNの動画広告の提供開始
  • 2015年 4月:YDNのインフィード広告の提供開始
  • 2014年11月:YDNのTwitterプロモ商品の提供開始
  • 2013年 1月:Yahoo!プロモーション広告に名称変更
  • 2009年10月:Yahoo!リスティング広告に名称変更
  • 2007年 7月:新スポンサードサーチに名称変更
  • 2003年 7月:Overture社を約1,600億円で買収
  • 2002年11月:検索連動型広告「スポンサーサイト」販売開始
  • 1996年 7月:バナー広告の提供開始
  • 1996年 4月:検索ポータルサイトYahoo!JAPANの提供開始
  • 1996年 1月:ヤフー株式会社設立

Googleの歴史

  • 2006年10月:YouTubeを約1,950億円で買収
  • 2005年 3月:Urchinを買収し、Googleアナリティクスの提供開始
  • 2004年10月:Googleマップ・GoogleEarthを公開
  • 2004年 4月:Gmailのサービスを開始
  • 2003年10月:gooと検索エンジンの提携を発表
  • 2002年 9月:Googleアドワーズ(日本向け)を販売開始
  • 2001年 8月:グーグル株式会社(日本法人設立)
  • 2000年10月:Overtureのリスティング広告を参考にアドワーズを販売開始

ちなみに、世界初のインターネット広告は、1994年10月にHot Wired.comに掲載されたバナー広告だと言われています。

時系列的に言えば、バナー広告(純広)→検索連動型広告→ディスプレイネットワーク広告の順に広告が誕生・進化していったと言えるでしょう。

●まとめ
リスティング広告が誕生して、まだ16年程度しか経っていないんですね。これだけ市場規模のある業界でありながら、その歴史はまだまだ浅い。

AIなどのテクノロジーの進化もあり今後どうなるのか予測がつかない所もありますが、リスティング広告を学び続ける事できっと良いことがあるんではないかなと思います。

(参考)
Yahoo! JAPAN、8月20日ヤフーの日特別企画
インターネット広告の歴史を振り返るインフォグラフィック
『そこに山があるから』編を公開
https://marketing.yahoo.co.jp/release/201408200900.html

Yahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN)の動画広告を提供開始
https://marketing.yahoo.co.jp/release/201703161500.html

Yahoo! JAPAN、Twitterプロモ商品を提供開始
https://marketing.yahoo.co.jp/release/201411051500.html